Piano for myself

この度、僕のスタインウェイアップライトピアノを、無料でお貸し出しするプロジェクトを始めました。

先月に終演した全16公演の全国ツアー"Reimagine"で使用したピアノです。

アップライトピアノというと、いつの時代もグランドピアノの代替品として捉えられてきましたが、僕はアップライトピアノの音がたまらなく大好きです。初めて生でその音に触れたのは、一昨年のパリでした。友達の作曲家がカスタムしたアップライトピアノを触らせてもらった時の恍惚は忘れられません。その後帰国してすぐにアップライトピアノを買いに行きました。

アップライトピアノの音は、まるで狭い部屋の隅で一人で会話しているような、特別な気持ちになります。フルコンサートグランドピアノを鳴らすのとは真逆の、きわめて私的でありのままの音があるのです。自分と対話するように演奏し、お客さんは私的空間に入り込んでいるような疑似体験ができる。そんな感覚を提供したかったのでした。ツアーが終わって、このピアノは一つの大きな役割を終えました。せっかくなので、このピアノに次なる役割を持ってもらいたい。このアップライトピアノの魅力をたくさんの人に伝えたい。アップライトピアノの魅力を最大限に活かした、自分との対話に没入できるような演奏空間。そんな可能性が、このアップライトピアノにはあると思っています。

ぜひこのピアノを、皆さんの力で役立ててくだされば嬉しいです。

角野隼斗

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